薔薇の名前2016年02月21日

ウンベルト・エーコが亡くなったというニュース。「どこかで聞いたことが・・」続いてニュースは「薔薇の名前の作者で・・」あ,そうだったのか。
映画は確かに観たが難解で,結局なんの話なのかさっぱり分からなかった。
夜中に手洗いに立ったら目が冴えてきたので,気になった「薔薇の名前」関連をiPad片手に寝床で検索を始めた。

エーコという人は,調べてみると大変な人で,この小説は彼の研究成果を,読者に分かりやすく,親しみやすいようにと,登場人物の名前には,色々と連想させるような設定をしている。
バスカーヴィルのウィリアムは,「シャーロック・ホームズ」と「オッカムのウィリアム」を連想させるようにしており,盲目の修道士ホルヘ・ダ・ブルゴスも「ホルヘ・ルイス・ボルヘスはアルゼンチンの国立図書館の館長で、盲目となった人物:Wikipedia」を連想させるようにしているらしい。
小説の舞台はオッカムのウィリアムの時代なので14世紀。そんな時代のキリスト教での「普遍論争」での異端審問が中心にある。普遍論争というのは,実在論と唯名論との争いで,個物が先か,普遍が先か,というような哲学上・神学上の争いのことのようだ。だから小説の「薔薇の名前」にも謎が秘められている。
オッカムのウィリアムは,「オッカムの剃刀」を掲げて,急進的な唯名論の立場に立ったため,ローマ教皇から異端審問にかけられそうになり,神聖ローマ皇帝の元へ逃亡する。
オッカムの剃刀は,「説明に不要な存在を切り落とすことの比喩」だそうで,「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」とうことだ。
分子のように目に見えもしないもので何かを説明するのは,この考えに反すると,エルンスト・マッハがボルツマンを攻撃したことが,ボルツマンの自殺につながるという説もあるくらいのものだそうだ。

エーコに戻るが,エーコは5万冊もの蔵書を持つ知の巨人であり,彼の研究は中世のキリスト教や哲学,記号論に及んでおり,それらの基礎知識が全くない者には,小説が難解なのは仕方のないことかもしれない。
しかし,エーコのような人は「キリスト教世界」からしか生まれないように思うのは早計だろうか。イスラム世界でのどのような研究がなされているのだろうか。かつてはイスラム世界の方が,閉鎖的なキリスト教世界よりもずっと科学や天文学が発達していた時代もあった。では,近現代ではどうなのだろうか。

と,そんなことを考えていたら,急に腹が減ってきた。血中のブドウ糖を使い切ってしまったようだ。で,また寝ることにした。すぐに寝てしまったようだ。(^_^;)

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://luke.asablo.jp/blog/2016/02/21/8024259/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。