読み終えた本「或る少女の死まで」2016年02月27日

読み終えた本
或る少女の死まで 室生犀星
書評だったか何だったか、文章が美しいというので、今まで室生犀星は読んだことがなかったので、青空文庫からダウンロードした。

ある貧乏詩人と隣りの九歳の少女ふじ子、そして筆者が友人らと傷害事件を起こすことになる飲み屋で酌婦をしている少女への思い。
一方は何不自由ない境遇、もう一方はいかにも病弱そうで、仕事中に居眠りするのが幸せそうなと、対照的に描く。
しかし、ふじ子は帰郷先の九州で、急病で亡くなったと手紙を受け取る。実際にあったことなのか、あっけない結末。
時代は母の生まれた年(明治44年)。当時の世相を窺い知る。

このように、「少女」を中心に置く小説の手法は、ステレオタイプのようでもある。例えば、鴎外の「舞姫」「うたかたの記」や、芥川の「南京の基督」にも見られるように思う。ふと、そんな事を思った。