読み終えた本 犬は「びよ」と鳴いていた2012年12月17日

犬は「びよ」と鳴いていた(横須賀市立中央図書館)
 日本語は擬音語・擬態語が面白い
山口仲美著 光文社新書 056 2002年

p45 物音を写した擬音語,で「さらさら」は算木を置いたり払ったりする音とある。そろばんの「払いましては・・」は算木から来ているのか。

p50 「今昔物語」当時は撥音の表記が確定していず,ンの代わりにウやムを用いたり,何も書かなかったりした。

p55 赤ん坊の泣く声は「イガイガ」「イガー,イガー」とすると「オギャー,オギャー」に近い。赤ん坊のことを「イガ」という地方が今でもある。

p57 身体が「ユブユブ」と腫れていた,という。固まっていない状態。今ならブヨブヨとうところ。

p100 日本語の擬音語・擬態語に悩まされるのは外国語に翻訳する人達。留学生が病院に行った時,お腹が「しくしく痛むの?きりきり痛むの?」と医者に聞かれ? 日本人には分かるニュアンスが,外国人には難しい。

p140 ネコの鳴き声は江戸時代は「にゃあにゃあ」。「我輩は猫である」では生まれたばかりの子猫は「ニャーニャー」と鳴いている。

p163 ネズミの鳴き声は,「ちち」「ちいちい」。「ちち」を「父」に掛けて狂歌などが作られた。

p172 牛は「ム」,馬は「イ」,ハチは「ブ」と聞いた。戯書にみられる。1072年の書に牛は「ムモ」つまり「ンモ」,これは牡牛,牝牛は「メイ」で羊に似るとある。「モー」は洒落に使われ易い。

p193 馬は「ヒ」だがその前は「イン」。江戸初期まで「h」の発音は「F」だったため。馬が跳ねる様をPinpinと発音していたため,しだいに「h」のヒンヒンに変わったと推察。

p215 キツネは「コウ」→「くわいくわい:わは小さく書く」,「こんこん」はキツネの機嫌が良い時の鳴き声。掛詞の使い易さから「こんこん」が残った。

p238 「むささび」と「ももんぐわあ:わは小さく書く」。「ももんぐわあ」は罵る言葉。(漱石の「坊ちゃん」で赤シャツを罵る場面) 皆,むささびの本当の声を知らなかった。化け物を表す言葉はそれ以前には「グワゴジ:ワは小さく書く」で,ぐわは元興寺(ぐわごじ)のこと。元興寺の鐘楼に鬼が居たとの言い伝えによる。

p251 ツクツクボウシは「くつくつぼうし」だった。(蜻蛉日記:975年頃)「うつくしよし」とも聞きなした。

山口先生はご専門とはいえ,膨大な数の古典をお調べになり,擬声語・擬態語の使用例を収集されておらる。日本語は掛詞(かけことば)が和歌で発達したので,都合の良い聞きなしが現在まで残ったと言える。和歌で発達したことが,単なる洒落の域を超えて,洗練されていったともいえるのではないか。日本語ならではのことかと思う。

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ごくたまに・・

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