鳥学大全2017年01月30日

鳥学大全
読んでいた本
鳥学大全 東京大学出版会(序文で秋篠宮は,とりがく大全と読むようにとのこと。鳥学「ちょうがく」と読むほどのものではないということか。)
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内容紹介
山階鳥類研究所の標本・関連文献などの鳥類コレクションをはじめて広く社会に公開する。同研究所所蔵の鳥類標本を解説したばかりでなく、鳥のさまざまな事象について、秋篠宮文仁殿下、黒田清子さん、荒俣 宏さんをはじめとした40人の執筆者が多方面から言及し、鳥学の楽しさを伝える。【カラー口絵64頁】
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鳥類図譜の系譜 荒俣宏
天の岩戸神話で、天照女神が岩戸に身を隠した時に鳴いたニワトリ(常世長鳴鳥)を飼っていた「土師」氏(はじし)は、墓造りの有力豪族だった。で,さっそく、件の辞書で検索すると、
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①(「はにし(土師)」の変化した語) 埴輪などの土器を作ることをつかさどった人。土師部を統轄して土器を貢納した伴部とものみやつこ。令制では諸陵司の伴部となり、陵戸を管して凶礼をつかさどった。のち、菅原氏と称して、同族は多く畿内に住み、秋篠・大枝などの諸氏を分立した。土師人はしうど。(伴部は部下のこと、陵戸は、みささぎべ、で天皇の墓を守る人のこと)
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オーデュボンの「アメリカの鳥類」は、ペリーに依って日本にやってきたが、現物は行方不明。

鶏の家禽化 秋篠宮文仁
鶏の祖先種は赤色野鶏だろうとダーウィンも言っていたが、ミトコンドリアDNAからそれが裏付けられた。それも、タイやその近隣地域由来であろう、とのこと。
最も古い鶏の骨は、モエンジョ=ダーロよりも古い、紀元前6000年の中国湖南省・湖北省の遺跡から出土している、としているが、今後の核DNA解析などで、他の可能性も否定していない。
*養鶏の目的の一つ、「報晨」が、件の辞書には無い。残念。

「鳥の人」ジョン・グールドと『ハチドリ科鳥類図譜』 黒田清子
オーデュボンではなく、英国人のグールドを取り上げたことは、戦前からの英国王室との深いつながりがあるためだろう。
*グールドについては、以前小文を書いたことがあった。
http://www.asahi-net.or.jp/~fv9h-ab/kamakura/essay.html#Anchor182862
この本に黒田さんが詳しく書かれているので、勉強になる。
グールドは幼少期に庭師であった父の影響で色鮮やかな鳥の卵や鳥そのものに興味を抱き、やがて剥製の技術を身に付ける。その過程で、鳥の詳細なスケッチが自然と身に付いたのではとの話を紹介している。グールド23歳の時、ロンドンの博物館学芸員に任ぜられ、英国のセルビー、ライデン博物館のテミンク、米国のオーデュボン等の知己を得ることになる。
ハチドリの図譜では金属光沢を出すのに、金箔の上に透明なオイルとニスの混合物を塗るというものだった。
1837年、ビーグル号で戻ったダーウィンから、図版作成を依頼されている。この時、二人は嘴の大きさが異なるフィンチに関心を持った。
「鳥の人:the Bird Man」は彼の墓碑に刻まれている。

*恐竜はいつどのようにして鳥になったか 真鍋真
も読んだ。
631ページもあるので、二週間では読めなかった。川崎の図書館から借りているので、一旦返さなければならない。又、予約しておこう。他の市から借りた本も、他に予約がなければ、窓口で返却を確認してから、継続できれば良いのだが。一度、川崎の図書館に戻してからでないと、再度借りられないのは不便だ。
*皇族や王族が学者・研究者という国はどれくらいあるのだろうか。グスタフ6世アドルフ (スウェーデン王) は植物学および考古学の専門家だそうだが,他に日本ほどのところがどれほどあるのだろうか,知りたいものだ。