モ・クシュラ2005年06月03日

ミリオンダラー・ベイビーを観ていて、こんなことが印象に残りました。

イーストウッド演じるボクシング・ジムのオーナーはアイリッシュらしくカトリックです。ゲール語の本を読み、イェーツの詩を愛するインテリであり、熱心に教会に通うのですが、いつもあきれられるような、冒涜とも思われる質問を神父にする。ちっとも信仰心が厚いとも思われない。それでも、寝る前にはベッドサイドで十字を切って娘のために祈る。しかし、娘とは疎遠で、いくら手紙を書いても、開封されずに返送された手紙が箱に幾つもある。そんな娘への痛恨の思いから、早くに愛する父を失い、母にも妹にもまるで愛されていない、一途なボクサー志願の女性に、最初は拒むものの、いつしか熱心にボクシングを教え、国内では連戦連勝、やがて英国での試合に臨むわけですが、この時、鮮やかなグリーン(アイルランドのカラーですね)のガウンを彼女に贈ります。その背中には「モ・クシュラ:Mo Cuishle」とゲール語で書かれています。その意味を彼女には最後の最後まで伝えません。それは「Love You, My Darling, My Blood」という意味なのですが、「愛する私の娘」という意味が込められていたのでしょう。

結末はとても悲しいのですが、もう一度、じっくり観てみたい映画のひとつになりました。

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