読み終えた本「宇宙の扉をノックする」2015年03月13日

読み終えた本「宇宙の扉をノックする」
読み終えた本「宇宙の扉をノックする」(ボブ・ディランの歌と同じ題名)
KNOCKING ON HEAVEN’S DOOR
NHK出版 (2013/11/26)
リサ・ランドール (著), 向山 信治 (翻訳), 塩原 通緒 (翻訳)

ヒッグス粒子が発見された今,ダークマター,ダークエネルギーの解明に向かっているのだろう。著者は「ワープした余剰次元」を掲げており,その解明の糸口となるのかもしれない。他の「力」に比べ,重力は弱すぎるのだそうで,4次元を突き抜けているのかもしれないと。見ることができない5次元の世界とはどんなものなのだろうか・・と頭は千々に乱れるのであった。(阿部)

内容(「BOOK」データベースより)
宇宙の根本的な構造について、物理学の大きなパラダイムシフトが起きようとしている。宇宙についての私たちの理解は、がらりと変わるかもしれない。LHCをはじめとする世紀の実験の成果とともに、最先端の現代物理学が、宇宙の扉を開く大冒険へと読者を誘う。いま、宇宙の起源と運命の謎が、劇的に解明され始めた。

著者について
Lisa Radall(リサ・ランドール)
理論物理学者。ハーバード大学物理学教授として素粒子物理学および宇宙論を研究する。プリンストン大学物理学部、マサチューセッツ工科大学およびハーバード大学で理論物理学者として終身在職権をもつ初の女性教授となる。1999年にサンドラム博士とともに発表した「warped extra dimensions(ワープした余剰次元)」により、物理学会で一躍注目を集め、今日もっとも業績の引用が多く影響力のある理論物理学者のひとりとなる。ディスカバー誌、エコノミスト誌、ニューズウィーク誌、サイエンティフィック・アメリカン誌ほかトップランクの科学誌でその業績がとりあげられ、タイム誌の「もっとも影響力のある100人」およびローリング・ストーン誌の「変革の使者100人」に選ばれたほか、初の著作『ワープする宇宙~5次元時空の謎を解く』(NHK出版)はニューヨーク・タイムズ紙で2005年注目の1冊に選ばれている。米国科学アカデミー、アメリカ哲学会、アメリカ芸術科学アカデミーのメンバー。宇宙の問題について考えていないときは、ロッククライミングやスキーを楽しみ、芸術と科学の橋渡しに貢献している。彼女が脚本を手がけたオペラ Hypermusic Prologueは2009年にパリのポンピドゥーセンターで初演された。2007年の来日時にはNHK BS特集『リサ・ランドール 異次元への招待』でも特集された。その他の著書に小編 Higgs Discovery: The Power of Empty Spaceがあり、これは邦訳「ヒッグスの発見」として電子版『ワープする宇宙』(NHK出版)に特別収載されている。

メモ
p65 ニュートンはガリレオが死んだ年にうまれ、ホーキンスの誕生日はガリレオの300年後の命日に当たる。まぁ,だからどうしたですが・・
p67 ガリレオの時代、望遠鏡は覗きの道具で、スパイ・グラスと呼ばれていた。ガリレオは祭りのオモチャとして貰ったものを、1年足らずで「科学機器」に変えた。ガリレオは顕微鏡での観察も行なっている。
p83 宗教は、隠された究極の目的があるという推定のもとに(何故か)を問うが、科学は(どのようにして) を問う。
p87 膨張宇宙を最初に唱えたのは、カトリックの司祭だった。ジョルジュ・ルメートル
p103 「求めよ,さらば与えられん。・・」文語体になっている
p121 量子スケール
p175 クォークとレプトン、ゲージボゾン+ヒッグス粒子
p191 大型ハドロン衝突型加速器 LHC(ここを見学した冷徹な筆者の絶賛の言葉が続く。)
p239 1984年の発案から、2010年までのLHC建設過程と数々の故障と事故、そして最初の陽子衝突実験の成功まで。
p240- LHCで小さなブラックホールができるのではと真剣に心配する人達がいて、訴訟を起こしたことがあった。
p351 クォークとグルーオンのジェットの状態を、ウェスト・サイド物語の「ジェット団の歌」に例えている。
p369 本当に良いアイデアが、それを思いついた本人に醜いと思われて却下されてしまうこともあるのだ。マックス・プランクは光子の存在を信じていなかったし、アインシュタインも宇宙の膨張はあり得ないと思っていた。その理由の一つが、彼の持つ美意識と哲学的傾向にそぐわなかった。
p397 超電導性が生じるのは、電子がペアになって、そのペアが物質に充満した時で、この超電導体の「凝縮状態」を構成している電子のペアが、ヒッグス場が果たしているのと同じ役割を果たしている。
p440 標準モデルの粒子と力は、高次元空間に存在するブレーンワールドに張り付いているのだろうと考えられる。あらゆる物質や、星も、電磁力のような力も、そした私たちの銀河や宇宙も、すべてブレーンワールドの3つの空間次元の中に存在している。それに対して重力は、常に空間全体に広がっていられる。
p478 宇宙を巡る旅 という章に、「パワーズ・オブ・テン」が登場する。
p490 ハッブル定数 100万光年先の銀河の膨張率は、秒速およそ22km。
p506 宇宙は目に見える物質が4%、ダークマターが23%、ダークエネルギーが73%で構成されている。
p514 宇宙の膨張の仕方は時と共に変わっている。初期のインフレーションの間は指数関数的に急激な膨張を果たしたが,インフレーションが終わると同時に従来のビックバン理論での膨張にとって変わられる。そして現在では、ダークエネルギーが膨張を再び加速させている。
p517 陽子が存在していながら、それと対消滅できる反陽子が見つからないのはどうしてなのか。私たちはその理由を見つけて、物質と反物質の非対称性を理論のどこかに組み込まなくてはならない。
p532 ダークマターの検出器の遮蔽に、18世紀に沈没したからガレオン船に積まれていた鉛の板を使用した。何百年も水に浸かっていた古い鉛は放射性を失っているから。
p559 問題を正しく見極めるには,ときには視点を変えてみることが必要である,という項で,引用している話。ある学生に単位をやるべきかどうかで悩んでいた教師,気圧計を用いて建物の高さを測る方法を答えさせた。その学生の答え「気圧計にひもをくくりつけて地上まで降ろし,それからひもの長さを測ればよい。」答えに物理学を用いるようにせよというと「気圧計を建物のてっぺんから落下させて所要時間を測る」とか「1日の所定の時刻に気圧計と建物の影の長さを測って比べる」とか,しまいには「建物の管理人に,この気圧計をあげるから引き換えに建物の高さを教えてくれと頼む」と答えたという。したたかな学生がいたものだ。
p561 ニュートンが「プリンキピア」の出版を10年も延期したのは、重力の逆二乗の法則を証明するのに微分積分学が必要だったから。ロバート・フックも逆二乗の法則を知っていたが、フックは微分積分学を知らなかった。ダーウィンとウォーレスの例も引いている。

NHKでも放送されたようだ。オンデマンドで観られるだろうか。
BS 「リサ・ランドール 異次元への招待」

訳者あとがき
p584 訳者が「なんと勇気の出る,すがすがしい励ましでしょう。」という著者の言葉,「たとえ最初はよくわからなくても,とりあえずそのまま読み続ける。理解できないことに出くわしたら,そこは飛ばして,とにかく自己流で解釈しながら最後までいき,それから悩まされt部分に戻ってくればいい。夢中になってさえいれば続けられる-----意味がわかることも,わからないことも,すべて乗り越えていけるだろう」

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