読んだ本「病気の日本近代史」2013年02月16日

病気の日本近代史
病気の日本近代史 ー幕末から平成までー
秦 郁彦著
文藝春秋 (2011/05)

第一章 黎明期の外科手術 本邦初の乳ガン摘出・虫垂切除は?
第二章 脚気論争と森鴎外 脚気菌から栄養障害説まで
第三章 伝染病との戦い 黄熱病と野口英世など
第四章 結核との長期戦 死因第一位から二十七位へ
第五章 戦病の大量死とマラリア 新顔の栄養失調症
第六章 狂聖たちの列伝 芦原将軍から大川周明まで
第七章 肺ガンとタバコ 非喫煙者のガンが増えている

日露戦争では,脚気で6000人の死者を出したという。海軍は麦を白米に混ぜることで脚気を克服したにもかかわらず,陸軍は白米に固執し,鴎外も死ぬ間際に,脚気の原因を食べ物の偏りであることを認めなかったのを悔いたとあった。
第一次大戦を終わらせたのはスペイン風邪だったというのは,以前にも聞いた。
太平洋戦争での大量の戦死者は,兵站が追いつかなかった故の餓死だったというのは,どう考えても納得できない。
最期の章で,喫煙率が減ったのに肺ガン患者は増加しているのはどうしてなのかと疑問を投げかける。
よく調べて書かれているので,読み応えがある。

#野口英世が長浜検疫所に赴任したのは明治三十二年だったとあるが,そこの跡地に建っている長浜ホールは,細菌検査室を保存したもの。何度かチェンバロのリサイタルを聴きに行ったことを思い出します。

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