読み終えた本「たった一人の反乱」2012年11月18日

たった一人の反乱
「たった一人の反乱」丸谷才一著 講談社 (1972)

朝日新聞の追悼記事にあった本を図書館から借りて読んでみた。
まだ歴史的仮名遣いをする前の作品なので,読みやすいと言えば読みやすい。
その読みやすさは,文体やみごとな構成によるものなのかもしれない。
シリアスであり,コミカルであり,筆致もたいしたものだが,各登場人物の描写や人間関係の持って行き方が面白いのかもしれない。

情景描写がいちいち細かいところは,伊丹十三の文章のようで,私はこの細かいのも好きだ。内容は,長編小説をかいつまんで解説できるような腕がないので,Amazonの記述を借用。

受賞歴
第8回(1972年) 谷崎潤一郎賞受賞
内容紹介
現代日本の小説の進路を変えた知的市民小説1969年大揺れの日本で、通産省から天下りした会社役員を巡って繰り広げられる、知的洪笑にあふれた市民小説。現代日本の小説の進路を変えたといわれる名作。

おぉ,そんなに有名だったのか。長編をこんなに楽しく読んだことはない。何度笑ったことか。

丸谷については,子供が小さい時に買って,今は手元にある童話一冊で知っていたのみ。「猫と悪魔」,ジェームズ・ジョイスが孫に送った手紙の内容を本にしたものの翻訳。
ジョイスと丸谷との関係はとても有名だが,どちらも読んだのはこの各一編のみ。

ジョイスは,犬が大嫌いだったそうで,もともと犬だった話しをネコに置き換えたとのこと。

猫と悪魔2012年11月18日

猫と悪魔
丸谷才一は童話に歴史的假名遣ひを用ひてゐる。史上初のことではないだらうか。

最初のページ。
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スティーヴン・ジョイスさま
1936年8月10日 ヴァリエ・シュル・メールにて

スティーヴィー君。
 二三日前,キャンデー入りの子猫を送りました。でも,きみは,ボージャンシーの猫の話は知らないでせう。
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